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研究成果

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研究成果 2020年

研究成果
狙ったタンパク質機能の選択的不可逆阻害を可能にする新たな分子デザイン
創薬ケミカルバイオロジー分野 Journal of the American Chemical Society
2020.10.15

アクセス数:1912

 九州大学大学院薬学研究院・創薬ケミカルバイオロジー分野の王子田彰夫教授、進藤直哉助教、徳永啓佑大学院生を中心とする研究グループは、標的タンパク質機能の選択的な不可逆阻害を可能とする新たな分子デザインとして、ひずんだ特異な構造の求電子基・ビシクロブタンカルボン酸アミド (BCBアミド) を見出しました。
 化学反応によって標的タンパク質と結合し、その機能を不可逆的に阻害する低分子医薬品はコバレントドラッグ (共有結合性阻害剤) と呼ばれ、強力で持続的な薬効を示すことから近年の創薬研究において大きな注目を集めています。一方で、標的以外のタンパク質 (オフターゲット) との非特異的な反応により、副作用が生じる懸念もあります。当研究グループではコバレントドラッグの標的選択性を高める分子デザインを探索しており、これまでにシステイン残基と穏やかに反応するクロロフルオロアセタミド (CFA) を見出して、高選択的コバレントドラッグ型抗がん剤に応用しました (2019年Nature Chemical Biology誌掲載)。
 本研究では、大きなひずみエネルギーを有する特異な構造の「ビシクロブタン環」に新たに着目し、その反応性を精査しました。その結果、BCBアミドが化学選択的にシステイン残基と反応することを見出し、ブルトン型チロシンキナーゼ (BTK) を標的とする新規コバレントドラッグへの応用に成功しました。得られたBCBアミド型コバレントドラッグは、従来広く用いられるアクリルアミド型コバレントドラッグと比べ、高いBTK選択性を示しました。さらに、定量的プロテオミクス解析により、可逆的相互作用によって標的タンパク質を認識するリガンド部位が同じでも、タンパク質と化学反応を起こす部位 (反応基/warhead) が異なると、オフターゲット反応性のプロファイルが大きく変化することを明らかにしました。本成果は、好ましいタンパク質反応性プロファイルを有する新規コバレントドラッグの分子デザインに大きく貢献することが期待されます。
 以上の研究成果は、アメリカ化学会が出版する国際科学誌「Journal of the American Chemical Society」に2020年10月13日付けオンライン版で掲載されました。


[論文タイトル]
Bicyclobutane Carboxylic Amide as a Cysteine-Directed Strained Electrophile for Selective Targeting of Proteins
DOI 10.1021/jacs.0c07490

[著者]
Keisuke Tokunaga, Mami Sato, Keiko Kuwata, Chizuru Miura, Hirokazu Fuchida, Naoya Matsunaga, Satoru Koyanagi, Shigehiro Ohdo, Naoya Shindo,* and Akio Ojida*

[掲載誌]
Journal of the American Chemical Society (IF 2019: 14.612)
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.0c07490

創薬ケミカルバイオロジー分野HP
https://bunseki.phar.kyushu-u.ac.jp/