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薬学への招待

薬学への招待

このページは、大学進学にあたり自己の人生進路を模索している高校生及び受験生諸君に、魅力ある薬学と伝統ある九州大学薬学部を紹介しようとするものです。

およそ30年くらい前までは、結核は、青年にとって最も恐ろしい病気でしたし、その他にもいろいろな伝染病に人々は常に脅やかされてきました。中世において人口を激減させたコレラ、ペストや天然痘のことを考えると、人類の歩みは、これらの病原微生物との生存をかけた戦いであったといっても過言ではないでしょう。こうした病気の大部分は、現在では、化学療法剤やワクチンなどの新しく開発された薬によって、ほとんど治療あるいは予防することが出来るようになりました。他方、ガン、エイズ、高血圧や心臓病などの循環器疾患、さらには老人性痴呆やいろいろな精神疾患など、ヒトの体自身の異常に起因する疾患が重要な問題となっています。

薬は、いつの時代でも人間の生命を救うことを至上の課題とし、病人の苦痛を除き、回復を助け、そしてあるときは病気を克服する決定的な力となって人間に役立ってきました。

薬学への招待 このように、人々が病気になって治療を必要とする時、あるいは病気にならないように予防するときに、最も有効な手段の一つが薬です。薬学者は薬を創製・供給し、あるいは医療の現場で医師と協力して薬の適用を行うなど、薬の誕生から患者への適用まで、薬に関係したきわめて広い分野で知的専門職として活躍しています。

薬学者の使命は「薬を創製し、生産し、管理し、患者に正しく適用し、あるいは人々の健康を保ち、かつ疾病を予防する」ことによって社会に貢献(卒業後の進路)することです。この使命を果たすためには、優秀でバイタリティあふれる諸君が薬学の分野に入ってくることが不可欠です。君の大きな夢を薬学の場で実現してほしいものです。それでは、薬学者の活躍の場について、もう少し詳しく説明してみましょう。

薬の創製
薬の創製

病原微生物によって引き起こされる感染症は、抗生物質を始めとする化学療法剤の発見・開発によりほぼ制圧されました。この例で分かるように、新しい薬を創り出すことは人類社会に対する薬学者の最も大きい貢献の一つです。大学の研究室や国立・公立の研究所及び製薬企業の研究室において、多くの人々が日夜英知を結集して新しい薬の発見・発明に向かって研究に取り組んでいます。基礎研究から実際に応用される薬となるまでには、10年以上の歳月と億単位の費用を要することもまれではありません。

薬の患者への正しい適用
薬の患者への正しい適用

薬は単なる化学物質ではなく、それがどの病気に対してどのような作用があるか、使用の際どのような点に注意すべきかという情報を伴って初めて有用性を持ちます。もし、正しくない使用をすれば、直ちに生命に危険をおよぼす可能性もあります。薬剤師は、患者のために薬の正しい使用法を構築し実行しています。薬剤師の免許は、大学薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格したものにのみ与えられます。

医療・薬学を支える基礎研究
医療・薬学を支える基礎研究

疾病は、なんらかの原因により私たちの体の働きが狂った状態であり、薬は、これを正常な状態に戻すカ(薬理作用)を有する物質ということができます。従って、新しい薬を発見・発明するためには薬という化学物質に対する知識だけでなく、生命の仕組みや機能に対する深い理解が必要であり、これらを明らかにすることは薬学の基礎的研究の重要な目標の-つです。従って、薬学の基礎分野は、いわゆる生命科学(ライフサイエンス)と呼ばれる学問分野の中心に位置しており、多くの薬学出身者が生命科学の分野で活躍しています。

人々の健康を保ち、かつ疾病を予防する

人々の健康が損なわれてから治療を施すのではなく、人々の健康を保ち、病気にならないようにするための対策を講じる分野を公衆衛生学といいます。また、最近大きな問題となっている公害や環境汚染物質について研究するのもこの分野です。ここでも多くの薬学者が頁献しています。

医薬品産業の特徴

医薬品産業は、他の製造業とは大きく異なる特徴を持っています。製薬会社の社会的使命は新しい薬を創薬・開発することが最も重要であり、これなくしては企業の存立も成り立ちません。薬の創薬開発の研究に従事している研究者の数が全社員の20%以上にも及んでおり、また売上高に対する研究開発費の割合も他の製造業に比べてずば抜けて高くなっています。新薬の開発には生命科学全体にわたる幅の広い学問的基礎を必要とし、医薬品産業は、製造業とはいっても情報産業の側面も強く持った知識集約産業です。知識集約産業は、自動車、エレクトロニクスに続いて日本の経済を支える中心的産業として大きな期待が寄せられています。