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タイトル 複合的がん免疫療法の開発研究 -T細胞の特異性、量、そして質の向上-
講演者 珠玖 洋 教授
所属 三重大学大学院医学研究科
開催日 2011-06-27 16:00
終了日 2011-06-27 17:30
内容

下記の要領で、三重大学大学院医学研究科・珠玖 洋教授の研究セミナーを行います。

ご存知の方も多いと思いますが、珠玖先生は腫瘍免疫研究を牽引されてきたお一人であり、昨年度の日本癌学会・長與又郎賞を受賞されました。今回も、がん免疫療法とその臨床応用の可能性について、興味深いお話をお聞き出来るかと思いますので、皆様奮ってご参加下さい。

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日時:平成23年6月27日(月) 16:00〜17:30

場所:コラボ・ステーションI 視聴覚ホール(2階)

演者:珠玖 洋 先生 (三重大学大学院医学研究科・教授)

演題:複合的がん免疫療法の開発研究 -T細胞の特異性、量、そして質の向上-

 

 T細胞により認識されるヒト癌抗原分子/抗原ペプチドの同定は、がんに対する特異的免疫療法の道を切り拓いた。癌抗原のペプチド、蛋白分子、核酸や、癌細胞そのものが免疫源として用いられ、多彩ながんワクチンの開発が、抗原特異的T細胞の活性化誘導と、それによる疾患のコントロールを目指して取り組まれている。

 我々は、癌を免疫的に制御し駆逐するには、標的細胞を直接破壊するCD8+キラーT細胞に加えて、その活性を増強持続させるCD4+ヘルパーT細胞が重要であることを指摘して来た。その為に、がんワクチン抗原として、キラーT細胞およびヘルパーT細胞の両者が認識する抗原ペプチドを含んだ「蛋白抗原分子」を用い、又、蛋白抗原を最終的にキラーT細胞とヘルパーT細胞の両者に届け得る「抗原デリバリーシステム」としての疎水化多糖(Cholesterol Hydrophobized Polysaccharides; CHP)を開発してきた。CHP-抗原蛋白複合体による多価性がんワクチンの開発が、現在第I相治験として進められている。

 異なったアプローチとして、宿主内のがん反応性T細胞の不足を補うべく、体外(ex vivo)で培養活性化したT細胞の輸注療法が検討されている。我々はそのひとつとして、癌特異的T細胞クローンから単離したT細胞レセプター(TCR)遺伝子を、レトロウイルスベクターを用いて患者リンパ球にex vivoで導入、増殖後に輸注するTCR改変T細胞療法の開発を進めている。TCR改変T細胞がin vivoで効果的に働くためには、T細胞輸注に加えて抗原ペプチドワクチンを投与することによるリンパ球活性化が必要であることを見い出した。現在これらの基礎的知見を反映したプロトコールでの臨床試験を進めている。

 T細胞のがん特異性、質と量という最も重要な課題の解決を踏まえつつ、これらの異なったアプローチを組み合わせた複合的がん免疫療法の開発には強い期待がかけられている。

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世話人:藤田雅俊(薬学研究院)

九州大学 大学院薬学研究院

医薬細胞生化学分野