研究成果 2011年
アンモニア水を用いた含水溶媒中でのアリルアルコールの直接アリル化反応をPt触媒により実現
環境調和創薬化学分野 Angew. Chem. Int. Ed.アクセス数:6835
九州大学大学院薬学研究院環境調和創薬化学分野の大嶋教授らは、アンモニア水を求核剤として用い、アリルアルコールから様々な1級アリルアミンを直接合成するPt触媒反応を開発することに成功しました。
アンモニアは入手容易かつ安価な窒素源でありますが、アンモニアを求核剤として用いた場合、生成物である1級アミンの求核性がアンモニアに比べて著しく高いため、1級アミンを選択的に合成することは困難でした。大嶋教授らは、先にアミンを求核剤として用いるアリルアルコールからの直接アミノ化反応を開発し、Pt触媒とDPEphos配位子を組み合わせることで、モノアリル化反応を選択的に進行させることに成功していましたが、アミンの代わりにアンモニアを用いても十分な反応性、選択性は得られませんでした。
そこで今回、大嶋教授らは反応の条件検討を徹底的に行い、脱水反応にもかかわらず、アンモニア源としてアンモニア水を用いることで、収率および選択性を大幅に改善することに成功し、入手容易なアリルアルコールからより付加価値の高い1級のアミノアルコールを収率よく合成することが可能となりました。これは、アンモニアを用いるアリルアルコールの直接置換反応の初めての成功例となります。
この研究成果は,国際科学誌「Angewandte Chemie International Edition」に2011年11月15日付けオンライン版で発表されました。
論文名
Platinum-Catalyzed Direct Amination of Allylic Alcohols with Aqueous Ammonia: Selective Synthesis of Primary Allylamines
著者
Kalpataru Das, Ryozo Shibuya, Yasuhito Nakahara, Nicolas Germain, Takashi Ohshima*, Kazushi Mashima*
Angewandte Chemie International Edition誌
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201106737/abstract
http://molrec.phar.kyushu-u.ac.jp/index.html