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2026-10-27

保護基が触媒になる!〜アンモニアを原料とする医薬品合成への新たな道〜

医薬品をはじめとする多くの生物活性分子には窒素原子が含まれており、これらの含窒素化合物を効率的に合成することは、創薬研究における重要な課題です。安価で豊富なアンモニア(NH3)は、この含窒素化合物を合成するための理想的な窒素源ですが、その等価な3つのN–H結合を選択的に変換することは容易ではありませんでした。

本研究では、アンモニアの1つのN–H結合のみを選択的に変換し、医薬品原料として有用な第一級アミンを合成する新たな手法を開発しました。従来法では、アンモニアの3つのN–H結合のうち2つを一時的に保護し、残る1つを変換した後、保護基を取り除く3段階の操作(保護・官能基化・脱保護)が必要でした。今回私たちは、3段階目で廃棄されるはずの保護基を触媒的に再利用するという新しい合成戦略により、アンモニアの選択的かつ環境調和的な変換を実現しました。

本研究は、九州大学大学院薬学府の下園和輝大学院生、薬学部の西本奈央学部生、薬学研究院の田上拓磨助教、大嶋孝志主幹教授らの研究グループによって実施されました。本研究グループは、保護基そのものを触媒として利用する新たな合成戦略に基づき、カルボニル触媒によりアンモニアの1つのN–H結合のみを活性化する手法を開発しました。この新たな活性化法により、アンモニア・アルケン・トリフルオロメチル化試薬から、β-トリフルオロメチル第一級アミンを直接合成することに成功しました。この反応では、アルケンの構造を変えることで、α位およびβ位にさまざまな置換基を持つ第一級アミンを合成することができます。また、比較的安価な15N標識アンモニアを用いることで、15N標識第一級アミンの合成にも成功しました。今回の手法により、安価で豊富なアンモニアから付加価値の高い第一級アミンを直接合成することが可能となり、環境調和的な医薬品合成への貢献が期待されます。






本研究成果は、アメリカ化学会が出版する国際誌「Journal of the American Chemical Society」に2026年10月22日付けオンライン版で発表されました。

<論文名>
Protecting Groups as Catalysts: Direct Synthesis of Primary Amines from Ammonia under Carbonyl Catalysis

<著者>
Kazuki Shimozono, Nao Nishimoto, Takuma Tagami,* Takashi Ohshima*

<発表誌>
Journal of the American Chemical Society
DOI: 10.1021/jacs.6c18373
URL: https://pubs.acs.org/jacsat/article/doi/10.1021/jacs.6c18373

環境調和創薬化学分野HP
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp
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