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酸化型グルタチオンが慢性心不全の予後を改善
生理学 Nature Communications.アクセス数:416
日本の心不全患者数は増加の一途を辿っています。心不全増悪の一因として考えられているのは、過剰な酸化ストレスであるため、生体内で活性酸素などの除去(抗酸化)を担うグルタチオンが注目されています。しかし還元型グルタチオン(GSH)を始めとする様々な抗酸化療法の多くは失敗に終わってきました。今回、自然科学研究機構生理学研究所/生命創成探究センター(ExCELLS)の西村明幸特任准教授と西田基宏教授(九州大学大学院薬学研究院と兼任)らの研究グループは、東北大学や筑波大学などとの共同で、これまで注目されてこなかった酸化型グルタチオン(GSSG)が心臓のミトコンドリア機能を改善することで慢性心不全の予後改善に有効であることを、心不全モデルマウスを用いて明らかにしました。
本研究は超硫黄分子の代謝に着目したレドックス創薬の新概念を提唱するもので、今後、心不全やミトコンドリア関連疾患に対する治療薬開発へつながることが期待されます。本研究成果は英国雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
掲載誌
Nature Communications.
タイトル
Polysulfur-based bulking of dynamin-related protein 1 prevents ischemic sulfide catabolism and heart failure in mice
著者
Akiyuki Nishimura, Seiryo Ogata, Xiaokang Tang, Kowit Hengphasatporn, Keitaro Umezawa, Makoto Sanbo, Masumi Hirabayashi, Yuri Kato, Yuko Ibuki, Yoshito Kumagai, Kenta Kobayashi, Yasunari Kanda, Yasuteru Urano, Yasuteru Shigeta, Takaaki Akaike, Motohiro Nishida
DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-024-55661-5
九州大学【研究成果】HP
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1201