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テロメア(染色体末端)構造安定性保持のための新たな分子メカニズムを解明
医薬細胞生化学分野 Nucleic Acids Researchアクセス数:2553
ヒトを含む真核細胞の染色体は線状構造をしており、その末端はテロメアと言われます。テロメアはDNA断端であるため、特殊な構造と制御を受けることで安定性を保っています。これらの制御が異常になるとテロメアの安定性が損なわれ、細胞老化や細胞死、がん化などにつながります。同研究グループは以前、TRF2と言われるテロメア構造保護蛋白質とORCと言われる複製開始点認識複合体が結合することを見出し、この結合を介して効率よく複製開始複合体がテロメアに形成されることを報告していました。しかし、この分子機構が実際にテロメアの安定性保持に必要なのかを明確にできていませんでした。今回、ORC1結合欠損変異体TRF2(ORC1と結合できないTRF2変異体)を同定すること等により、このTRF2とORCの結合を介した効率よい複製開始複合体のテロメアでの形成がテロメア安定性保持に重要であることを明らかにしました。例えば、ORC1結合欠損TRF2 EE変異体を持つ細胞では、テロメアが切断されてしまうことで形成されるテロメア含有微小核の形成頻度が複製ストレス時に大きく上昇してしまいます(図)。以上のことから、TRF2-ORC結合を介して染色体末端に効率よく複製開始複合体を形成することにより、染色体内側からのDNA複製の進行が阻害された場合に末端側から複製を開始することができ、テロメアの安定性が保たれることが明らかになりました。
本研究成果は、国際学術誌「Nucleic Acids Research」に2021年 11月 11日付けオンライン版で発表されました。 論文名 TRF2-mediated ORC recruitment underlies telomere stability upon DNA
replication stress DOI 10.1093/nar/gkab1004/6425542 著者 Mitsunori Higa, Yukihiro Matsuda, Jumpei Fujii, Nozomi Sugimoto, Kazumasa
Yoshida, Masatoshi Fujita
論文オンライン公開HP https://academic.oup.com/nar/advance-article-abstract/doi/10.1093/nar/gkab1004/6425542
医薬細胞生化学分野HP http://tansaku.phar.kyushu-u.ac.jp/saito/top.html |