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細胞内β酸化代謝の活性化状態を蛍光イメージングすることに成功!
創薬ケミカルバイオロジー分野 Chemical Communications
2020.03.18

アクセス数:3749

 九州大学薬学研究院創薬ケミカルバイオロジー分野の内之宮祥平助教、王子田彰夫教授は、同薬学研究院薬剤学分野の大戸茂弘教授、松永直哉准教授との共同研究により、脂肪酸を分解する代謝経路である脂肪酸β酸化の活性化状態を生細胞で蛍光イメージングできる小分蛍光子プローブの開発に成功しました。本プローブを用いることで、肝臓ガン由来の細胞株であるHepG2細胞など様々な細胞株で脂肪酸β酸化の活性をリアルタイムで蛍光検出することに成功しました。また、マウス肝臓から単離した初代培養細胞での脂肪酸β酸化活性の蛍光イメージングでは、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のモデルマウスに対しbezafibrateを経口投与した場合、クマリン蛍光が大きく増加しβ酸化活性が回復することを明らかとしました。本研究によって開発された蛍光プローブは、脂肪酸β酸化の活性を生きた細胞で蛍光イメージングすることを可能とする初めてのケミカルツールです。また、連続する酵素反応を含む代謝経路全体の活性を検出可能な初めての蛍光プローブの例となります。本蛍光プローブは今後に脂肪酸β酸化経路を標的とした薬剤探索など創薬研究への応用が期待されます。



本研究の成果は2020年2月12日に英国王立化学会誌Chemical Communications (2020, 56, 3023 – 3026) 誌に掲載されました。

論文名: Fluorescence detection of metabolic activity of the fatty acid beta oxidation pathway in living cells

著者: Shohei Uchinomiya, Naoya Matsunaga, Koichiro Kamoda, Ryosuke Kawagoe, Akito Tsuruta, Shigehiro Ohdo and Akio Ojida*

DOI 10.1039/c9cc09993j 

論文オンライン公開HP
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2020/CC/C9CC09993J/Abstract

創薬ケミカルバイオロジー分野HP
http://bunseki.phar.kyushu-u.ac.jp