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ビタミンKの新たな作用とその還元酵素を発見 50年来の謎を解明
生命物理化学分野 Nature
2022.08.17

アクセス数:1514

ビタミンKの新たな作用とその還元酵素を発見 50年来の謎を解明

 

【概要】

フェロトーシス(ferroptosis)は脂質酸化依存性細胞死とも呼ばれる細胞死の一つで、近年、アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患やがん細胞に対する抗がん薬の感受性などに関与することが知られています。世界的に注目を浴びている生命事象であるとともに、これらの病気の治療薬の標的となることが期待されています。

東北大学大学院医学系研究科 三島英換非常勤講師、医工学研究科 阿部高明教授、農学研究科の伊藤隼哉助教、仲川清隆教授、九州大学大学院薬学研究院の山田健一教授らは、ドイツ・ヘルムホルツセンターミュンヘンとの国際共同研究により、ビタミンKにはフェロトーシスを強力に防ぐ作用があることを新たに発見しました。さらに、これまで50年以上その正体が不明であったビタミンKを還元する酵素を同定しました。これまで、抗凝固薬として広く使用されているワルファリン中毒時にビタミンKの投与がなぜ解毒剤となるのかは謎でしたが、本研究によりそのメカニズムが明らかとなりました。さらに本研究成果は、フェロトーシスが関わる様々な病気の治療薬の開発や応用へと発展することが期待されます。

本成果は、2022 83 日(英国標準時16時)に国際学術誌「Nature」にオンライン掲載されました。

 

掲載誌:Nature

論文タイトル:A non-canonical vitamin K cycle is a potent ferroptosis suppressor

著者名: Eikan Mishima*, Junya Ito, Zijun Wu, Toshitaka Nakamura, Adam Wahida, Sebastian Doll, Wulf Tonnus, Palina Nepachalovich, Elke Eggenhofer, Maceler Aldrovandi, Bernhard Henkelmann, Ken-ichi Yamada, Jonas Wanninger, Omkar Zilka, Emiko Sato, Regina Feederle, Daniela Hass, Adriano Maida, André Santos Dias Mourão, Andreas Linkermann, Edward K. Geissler, Kiyotaka Nakagawa, Takaaki Abe, Maria Fedorova, Bettina Proneth, Derek A. Pratt & Marcus Conrad* (*Corresponding authors)

リンク:DOI10.1038/s41586-022-05022-3

 

生命物理化学分野HPhttp://bukka.phar.kyushu-u.ac.jp/