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イベント・セミナー

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Mrc1/Claspinの分子内相互作用による活性制御および新規機能
講演者:正井久雄 先生 所属:東京都医学総合研究所・ゲノム医科学研究分野

開催日:2014-08-29 16:00

終了日:2014-08-29 17:00

■研究セミナーのご案内■

 

この度、東京都医学総合研究所・ゲノム医科学研究分野・正井久雄先生に、下記の要領で研究セミナーを行って頂きます。

皆様ご存知のように、正井先生は染色体複製・細胞周期研究分野の第一人者のお一人です。最近の研究成果について興味深いお話をお聞きできるかと思いますので、皆様のご参加をお待ちしています。

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日時: 平成26829日(金) 16:0017:00

場所: 薬学部本館第2講堂(薬学部本館3階)

演者: 正井久雄先生 (東京都医学総合研究所・ゲノム医科学研究分野)

演題: Mrc1/Claspinの分子内相互作用による活性制御および新規機能

 

Mrc1/Claspinは複製checkpoint mediatorとしてlipid kinaseからeffector kinaseへとシグナルを伝達する。又、複製フォークにおいてCdc45DNAポリメラーゼ等種々の複製因子と相互作用し、複製フォークの効率よい進行にも必要である。

 

我々は分裂酵母Cdc7ホモログであるhsk1の機能をmrc1Δがバイパスすることを見いだした。さらにこのバイパスは、チェックポイント依存性と非依存性の2種類の独立な経路で起こる。チェックポイント非依存性の複製抑制の機能の喪失はHU存在下での後期複製起点の活性化は起こさないが、初期複製起点を活性化する。この抑制はMrc1の分子内でのN端とC端の相互作用により引き起こされる。Mrc1は、Hsk1によりin vivoおよびin vitroにおいてリン酸化される。N 端領域とC端領域が分子内で相互作用することが抑制に必要でありHsk1によるリン酸化がその抑制を解除するというモデルを提唱している。興味深いことに、動物細胞のClaspinも分子内で会合し、C端領域がN端におけるDNA結合およびPCNA結合を抑制する可能性が示唆された。このように分子内会合による機能制御はMrc1/Claspinに共通な構造的特徴である。

 

私達は、条件的Claspin KOマウス(KOマウスはE12.5までに死亡)、及び条件的ClaspinKO細胞を樹立した。この変異細胞は、以前にKD細胞で報告されたのと同様に、HU,UVなどによるChk1活性化が欠損するとともに、DNA合成能の低下と複製フォークの進行遅延を示す。我々は、Claspin KO MEF細胞を用いて相補アッセイ系を確立し、PCNAへの結合や分子内会合がその機能に重要であることを示した。さらに、KO細胞の解析からClaspinは血清飢餓からの増殖再開の生存維持に必須であることを見いだした。酵母Mrc1は複製ストレス以外のストレスによっても活性化されることが知られているが、Claspinも未知のシグナル系とリンクしている可能性が示唆される。

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連絡先:

藤田雅俊

九州大学 大学院薬学研究院

医薬細胞生化学分野