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研究成果

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研究成果 2023年

研究成果
ミクログリアの多様性と神経障害性疼痛
薬理学分野 Trends in Neuroscience
2023.05.30

アクセス数:1516

がんや糖尿病,帯状疱疹,脳梗塞などで神経が傷つくと,非常に長引く痛みを発症する場合があります。この慢性疼痛は神経障害性疼痛と呼ばれ,解熱鎮痛薬などの一般的な薬では抑えることができず,モルヒネのような強い薬でも効かないことがあり,治療に難渋する痛みです。

私たちは,2003年にP2X4受容体がミクログリアで増え,その刺激が神経障害性疼痛に重要であることをNature誌に発表し,それ以来,神経障害性疼痛とミクログリアに関する研究成果を数多く発表し,神経損傷後の脊髄で活性化したミクログリアがその発症に必要であることを明らかにしてきました(https://life-innov.phar.kyushu-u.ac.jp/selected_papers.html)。さらに最近,神経損傷により痛みを発症したマウスがその後1ヵ月程度で痛みが自然に弱くなっていくことに注目し,その現象にミクログリア細胞の一部が変化した亜集団(CD11c陽性ミクログリア)が必須であることを発見しました(2022Science誌に掲載)。この成果から,これまで痛みの発症に関わるとされてきたミクログリア細胞の新たな側面が明らかになり,この細胞がもつ多様性に注目に集まっています。

そのような中,今回私たちは,ミクログリアの多様性から見えてきた神経障害性疼痛の新しいメカニズムと,創薬を含めた将来展望などを論じた総説を執筆し,Trends Neurosci誌に掲載されました。

 

 

論文タイトル: Microglial diversity in neuropathic pain

著者: Makoto Tsuda, Takahiro Masuda, Keita Kohno

掲載誌: Trends in Neuroscience

 

Trends in Neuroscience

https://www.cell.com/trends/neurosciences/fulltext/S0166-2236(23)00124-8

 

薬理学分野

https://life-innov.phar.kyushu-u.ac.jp/index.html