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研究成果

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研究成果 2023年

研究成果
光学活性なα-アミノホスホン酸類の環境に優しい新規合成法を開発
―医薬品や生物活性物質の合成素子としての活用に期待―
環境調和創薬化学分野 ACS Catalysis (IF 13.7)
2023.02.27

アクセス数:1339

<本文>

九州大学大学院薬学研究院の大嶋孝志教授、森本浩之講師、山田昂輝大学院生、近藤優太大学院生らの研究グループは、嵩高い非天然α–アミノ酸類を効率的に供給する新しい合成法の開発に成功しました。

 

α-アミノホスホン酸は、α-アミノ酸の生物学的等価体であり、生物活性物質中にも見られる化合物です。また、α-アミノホスホン酸は、リン原子の四面体構造からペプチド加水分解の遷移状態類縁体としても知られており、ペプチド加水分解酵素への耐性を示す有用な合成素子となります。しかし、これまでの光学活性なα-アミノホスホン酸の合成法では、窒素原子があらかじめ保護された原料が必要であり、不要な保護基の着脱が必要となることから、環境調和性の点で改善の余地がありました。

九州大学大学院薬学研究院の大嶋孝志教授、森本浩之講師、山田昂輝大学院生、近藤優太大学院生らの研究グループは、2021年にノーベル化学賞を受賞した研究として知られている有機分子触媒の1つを用いることで、窒素原子上に保護基を持たない原料に対する反応が効率的に進行することを見出し、不要な廃棄物を出さない光学活性なα-アミノホスホン酸類の直接合成法の開発に世界で初めて成功しました。本手法は、触媒添加量の低減や、合成中間体を単離せずに次の反応に用いる「ワンポット反応」への適用が可能であり、持続可能な開発目標(SDGs)に対応した、より環境調和性に優れた合成を実現しました。本手法を応用することで、光学活性なα-アミノホスホン酸を活用した医薬品合成の進展が期待されます。

 
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 本研究成果は、アメリカ化学会が出版する国際化学誌「ACS Catalysis」に2023217日付けオンライン版で発表されました。

 

<論文名>

Organocatalytic Direct Enantioselective Hydrophosphonylation of N-Unsubstituted Ketimines for the Synthesis of α-Aminophosphonates

 

<著者>

Koki Yamada, Yuta Kondo, Akihiko Kitamura, Tetsuya Kadota, Hiroyuki Morimoto, and Takashi Ohshimacontributed equally

 

<発表誌>

ACS Catal. 2022, article ASAP. (DOI: 10.1021/acscatal.2c05953)

URL: https://doi.org/10.1021/acscatal.2c05953

 

九州大学【研究成果】

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/882

 

環境調和創薬化学分野HP

https://green.phar.kyushu-u.ac.jp