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研究成果

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研究成果 2017年

研究成果
複製開始のためDNAを1本鎖化する高次複合体の機構を解明
分子生物薬学分野 Nucleic Acids Res.誌
2017.10.11

アクセス数:5116


 染色体DNAの複製は、複製起点と呼ばれるDNA領域での開始反応から始まります。開始反応では、通常2重鎖であるDNAを開いて2つの1本鎖にします。この反応を起こすため複製起点には多数のタンパク質が結合して、複雑で動的な構造体が造られます。これが複製開始複合体です。大腸菌では11から12個のDnaAタンパク質が複製起点DNAに集合して複合体となります。
 九州大学大学院薬学研究院分子生物薬学分野の片山 勉教授の研究グループは、複製開始複合体に含まれるDnaAタンパク質分子を1分子づつ個々別々に機能解析する独自の手法を開発しておりました。今回、その手法を適用して、個々のDnaAタンパク質の複製起点DNAとの結合、DnaA-DnaA間相互作用、および、1本鎖DNAとの結合における役割を詳細に明らかにしました。これにより図に示すように、複製起点DNAの左側領域で集合した2つのDnaAタンパク質分子が1本鎖DNAとの結合に主要な役割を果たし、複製開始反応を進めることを解明しました。ゲノム情報からは病原菌を含む多くの細菌種で同じ分子機構が働いていることが示唆されます。この成果は抗菌剤や抗がん剤の開発研究にも繋がるものです。
 本成果は、Nucleic Acids Research誌に10月10日付けでオンライン発表されました




論文タイトル
Regulatory dynamics in the ternary DnaA complex for initiation of chromosomal replication in Escherichia coli

著者
Yukari Sakiyama, Kazutoshi Kasho, Yasunori Noguchi, Hironori Kawakami, Tsutomu Katayama

掲載誌
Nucleic Acids Research

論文URL(オープンアクセス)
https://doi.org/10.1093/nar/gkx914

分子生物薬学分野
http://bunsei.phar.kyushu-u.ac.jp