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研究成果

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研究成果 2017年

研究成果
窒素上無保護非天然アミノ酸類の触媒的直接合成法の開発に成功!
環境調和創薬化学分野 Chem. Eur. J.誌
2017.09.27

アクセス数:5340

九州大学大学院薬学研究院 環境調和創薬化学分野の大嶋孝志教授、森本浩之講師らの研究グループは、医薬品などの原料として重要な無保護の非天然アミノ酸類を直接供給可能な新しい環境調和型反応の開発に成功しました。

不斉四置換炭素を持つ非天然アミノ酸類は、天然由来のアミノ酸類とは異なる特性を有し、医薬品や生物活性物質の合成において重要な化合物の1つです。この非天然アミノ酸類の化学合成法の1つとして、ケチミンに対するカルボニル化合物の求核付加反応が世界中で研究されてきました。しかし、これまでの合成法では窒素原子があらかじめ保護されたケチミンを用いており、不要な保護基の着脱が必要となるため合成効率の面で改善の余地を残していました。

今回、大嶋孝志教授・森本浩之講師らは、金属ルイス酸触媒を用いることで、窒素原子が無保護のケチミンに対するプロトン移動型求核付加反応が円滑に進行し、不斉四置換炭素を持つ様々な窒素上無保護の非天然アミノ酸類を直接合成可能であることを実証しました。また、本反応が有機触媒を用いて不斉合成へと適用可能であることも見出し、種々の不斉四置換炭素を有する非天然アミノ酸類の立体選択的な合成も達成しました。さらに、連続した不斉四置換炭素を有する窒素上無保護の非天然アミノ酸類の立体選択的な直接合成にも世界で初めて成功しました。




以上の研究成果は、Wileyが出版する国際総合化学誌「Chemistry—A European Journal (IF 5.3)」に2017年9月26日付けオンライン版で発表されました。また、本論文は、同誌のHot Paperに選ばれました。

論文名
Direct access to N-unprotected α- and/or β-Tetrasubstituted Amino Acid Esters via Direct Catalytic Mannich-Type Reactions using N-unprotected Trifluoromethyl Ketimines

著者
Masanao Sawa, Kazuhiro Morisaki, Yuta Kondo, Hiroyuki Morimoto* and Takashi Ohshima*

発表誌
Chemistry—A European Journal 2017, 23, Early View. (DOI: 10.1002/chem.201703516)
URL: http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/chem.201703516/full

九州大学プレスリリース
https://archive.iii.kyushu-u.ac.jp/public/Yl_kwA5IoY7A6i0BD5Ve2ybAzUSqXUbiOUphI1XQDFGr

環境調和創薬化学分野HP
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp