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研究成果

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研究成果 2016年

研究成果
優れた触媒性能を示す高機能らせん配位子の開発に成功
薬物分子設計学分野 Scientific Reports誌
2016.11.02

アクセス数:9158

九州大学大学院薬学研究院の臼井一晃助教、山本耕介特別研究員、平井剛教授、末宗洋名誉教授らの研究グループは、九州大学先導物質化学研究所の友岡克彦教授、井川和宜助教との共同研究により、優れた不斉触媒の前駆体となる高機能らせん型配位子の開発に成功しました。



 多くの有機化合物には,いわば右手と左手の関係にある立体異性体が存在し、生体中では右と左の分子が異なる生理作用を示すことが知られています。そのため、医薬品等の精密合成研究は、これら立体異性体を作り分けるための手法に依存するところが大きく、その効率的手法として優れた不斉触媒の開発が求められます。今回、本研究グループは、らせん不斉(右ネジ・左ネジの関係)を有するヘリセンの分子構造に着目し新規リン配位子の設計・合成に成功しました。さらにこれら配位子を、従来法では立体制御が困難な化合物の触媒的不斉合成に適用した結果、変換効率、立体選択性共に非常に高い性能を示しました。また、この配位子の高い機能性を計算化学により解析し、その立体識別機構を提唱しました。本研究成果は、医薬化学研究において必須である光学活性誘導体の合成に大きく寄与し、創薬研究の進展に貢献することが期待されます。



 本研究成果は平成28年10月31日(月)に英国科学誌の電子ジャーナル「Scientific Reports」で公開されました(DOI: 10.1038/srep36211)。

 


著者名:Yamamoto K, Shimizu T, Igawa K, Tomooka K, Hirai G, Suemune H, Usui, K

タイトル: Rational Design and Synthesis of [5]Helicene-Derived Phosphine Ligands and Their Application in Pd-Catalyzed Asymmetric Reactions

 

Scientific reports HP: www.nature.com/articles/srep36211

 

九州大学プレスリリース:http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/56

 

薬物分子設計学分野:http://sekkei.phar.kyushu-u.ac.jp/