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研究成果

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研究成果 2013年

研究成果
水素水は胃のベータ1受容体活性化を介してグレリン産生を促進し,パーキンソン病モデルマウスのドパミン神経の脱落を軽減することを発見
病態生理学分野 Scientific Reports誌
2013.11.25

アクセス数:27188

 分子状水素(水素ガス)は生体において様々は保護作用があることが報告されています。我々は以前、パーキンソン病モデルマウスにおいて、水素水の長期飲用が中脳黒質・線条体におけるドパミン神経細胞・神経線維の脱落が顕著に抑えられることを報告しましたが、その作用機序については不明でした。低濃度の水素水でもドパミン神経の保護作用が発揮される事が疑問点でしたが、今回、千葉大学大学院医学研究院薬理学・中谷晴昭教授および九州大学生体防御医学研究所・客員准教授を兼ねる松本明郎准教授のグループは、水素水飲用によって、胃のアドレナリン性ベータ1受容体を介して、神経保護作用が報告されている消化官ホルモン・グレリンが放出されることを発見しました。九州大学薬学研究院病態生理学分野(野田百美准教授)および九州大学生医研脳機能制御学・ヌクレオチドプール研究センター(中別府雄作主幹教授)のグループは、グレリン受容体阻害剤およびベータ1受容体阻害剤の投与によって、水素水によるドパミン神経保護作用がキャンセルされることを証明しました。


 胃において水素水はグレリンにシグナルを変換する事により脳に対して十分な強さの保護効果をもたらすことができると考えられ、吸入では効果がなく、腸管内での細菌由来の産生を増大させても効果がないというこれまでの報告にも矛盾しない結果が得られました。


 本研究成果は、英国科学雑誌Natureのオンライン姉妹誌Scientific Reportsに、2013年11月20日に公表されました。


Oral ‘hydrogen water’ induces neuroprotective ghrelin secretion in mice

Akio Matsumoto, Megumi Yamafuji, Tomoko Tachibana, Yusaku Nakabeppu, Mami Noda, Haruaki Nakaya 


Scientific Reports誌

http://www.nature.com/srep/2013/131120/srep03273/full/srep03273.html


病態生理学分野

http://seiri.phar.kyushu-u.ac.jp/