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研究成果

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研究成果 2013年

研究成果
化学選択性の謎を解明!
〜アミノ基存在下における水酸基選択的アシル化反応の機構解明に成功〜
環境調和創薬化学 JACS誌
2013.04.17

アクセス数:9616

九州大学大学院薬学研究院環境調和創薬化学分野の大嶋教授らは、アミノ基存在下における水酸基選択的アシル化反応の機構解明に成功しました。

水 酸基に比べてアミノ基の求核性は極めて高く、そのため、水酸基とアミノ基が共存した場合には、アミノ基のみが選択的にアシル化されアミドへと変換されると いうことが、化学の常識として広く認識されていました。それに対し、大嶋教授らは先の研究で、亜鉛四核クラスター触媒Zn4(OCOCF3)6Oを用いる エステル交換反応では、その一般的な化学選択性が逆転し、水酸基選択的にアシル化反応が進行することを見出していましたが、なぜこのような逆転現象が触媒 的に可能となるかは、これまで謎のままでした。

今回、亜鉛クラスター触媒の代わりに、同様の触媒活性と化学選択性を示すコバルトクラス ター触媒を用いて、反応速度解析、分光化学的測定、理論計算などを駆使して徹底的に反応機構解析を行い、水酸基選択的な脱プロトン化が化学選択性の鍵であ り、その脱プロトン化をクラスター触媒中のμオキソ配位子が促進していることを見出しました。

この化学選択性の制御法は一般性の高いものであり、他の反応への応用が期待される。

この研究成果は,国際科学誌「Journal of the American Chemical Society」に2013416日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Enzyme-like Catalysis via Ternary-Complex Mechanism: Alkoxy-bridged Dinuclear Cobalt Complex Mediates Chemoselective O-Esterification over N-Amidation.
Y. Hayashi, S. Santoro, Y. Azuma, F. Himo, T. Ohshima, K. Mashima. J. Am. Chem. Soc., in press.

http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/ja400367h
DOI: 10.1021/ja400367h

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp