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研究成果

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研究成果 2012年

研究成果
強力な水酸基活性化触媒Al(OTf)3による水酸基の直接アミノ化反応の開発と乳がん治療薬Letrozolの2工程合成
環境調和創薬化学 Advanced Synthesis & Catalysis誌
2012.08.22

アクセス数:3607

九州大学大学院薬学研究院環境調和創薬化学分野の大嶋教授らは、水酸基の直接アミノ化反応の強力な触媒Al(OTf)3の開発に成功しました。

水酸基の直接アミノ化反応は、入手容易なアルコールから対応するアミンを1工程で合成できる反応であり、共生成物が水のみであるため、脱離基を用いる従来法に比べて環境調和性に優れています。

これまでにも、様々なルイス酸やブレンステッド酸触媒反応が報告されていたものの、用いることのできるアルコールが、カルボカチオン中間体を生成しやすい基質に限定されていました。

Al(OTf)3
は強力なルイス酸性を示す一方で、水に対する耐性が高く、回収・再利用も可能な触媒であるにもかかわらず、他のルイス酸触媒に比べてあまり検討されていま せんでしたが、今回大嶋教授らは、様々な触媒の検討を行う中で、Al(OTf)3が非常に強力に水酸基を活性化し、従来用いることのできなかった電子吸引 性基を有するベンズヒドロール誘導体を用いた反応も、高収率で目的物を与えることを見出しました。また、本触媒反応を鍵反応とすることで、乳がんの治療で 用いられるアロマターゼ阻害薬の一種であり、フェマーラという商品名で販売されているLetrozolを2工程で合成することも可能となりました。さら に、興味深いことに、Al(OTf)3は超酸と同様に強い酸性を示すにもかかわらず、Boc基などの酸に対して不安定な求核剤も用いることが可能です。

この研究成果は,国際科学誌「Advanced Synthesis & Catalysis」に2012822日付けオンライン版で発表されました。

論文名

Aluminum Triflate as a Powerful Catalyst for Direct Amination of Alcohols, Including Electron-Withdrawing Group-Substituted Benzhydrols.
T. Ohshima, J. Ipposhi, Y. Nakahara, R. Shibuya, K. Mashima
Adv. Synth. Catal. 2012, 354, 2447–2452.

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adsc.201200536/abstract
DOI: 10.1002/adsc.201200536


環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp/