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研究成果

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研究成果 2012年

研究成果
NaOMe触媒によって簡便にエステルからアミドを合成する事が可能に!
環境調和創薬化学 Chem Commun
2012.06.21

アクセス数:14759

九州大学大学院薬学研究院環境調和創薬化学分野の大嶋教授らは、極めてシンプルかつ安価なNaOMeがエステルからアミドへの変換反応(エステルーアミド交換反応)の優れた触媒である事を見いだし、ペプチドを含む様々なアミドを簡便に合成する事が可能となりました。

エステルとアミンを直接反応させてアミドを合成する事ができれば、アミドを”グリーン”に合成する事が可能となります。しかし、エステルは安定な化合物であるため、これまでエステルからアミドへの変換反応には高温、高圧、強塩基などの激しい反応条件が必要とされていました。最近になって金属アミドや有機塩基などを触媒とする反応が報告されるようになりましたが、基質一般性に改善の余地を残していました。

今回大嶋教授らは、極めてシンプルかつ安価なNaOMeがエステルーアミド交換反応に対して非常に高い触媒活性を有する事を見いだしました。これまでにNaOMeがエステルーアミド交換反応を促進する事は知られていましたが、それらは等モル量以上のNaOMeを必要とするものでした。一方、今回開発した方法は、無水条件で反応を行う事で、わずか1~5 mol%のNaOMeの添加で反応が速やかに進行させることに成功しました。さらに、フェノール誘導体を添加して、反応溶液の塩基性をコントロールする事で、光学活性アミノ酸誘導体を基質に用いた場合にも、エピメリ化を起こす事なくアミドを合成する事に成功しました。これは触媒的なペプチドカップリング反応の初めての成功例です。

この研究成果は,国際科学誌「Chemical Communication」に2012年4月12日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Sodium methoxide: a simple but highly efficient catalyst for the direct amidation of esters.
T. Ohshima, Y. Hayashi, K. Agura, Y. Fujii, A. Yoshiyama, K. Mashima
Chem. Commun., 2012, 48, 5434-5436.


http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2012/CC/c2cc32153j
DOI: 10.1039/c2cc32153j

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp/