研究成果

2018-02-08

Nature Rev Neurosci誌に総説が掲載
神経障害性疼痛とミクログリア-細胞分子メカニズムと創薬-

 
 がん,糖尿病,帯状疱疹あるいは脳卒中などで神経に障害が起きると,抗炎症薬やモルヒネなどの鎮痛薬が効きにくい「神経障害性疼痛」という慢性痛が発症します。しかし,そのメカニズムは明らかになっておらず,著効を示す治療法もありません。
 九州大学の井上和秀 理事・副学長と大学院薬学研究院の津田誠 教授を中心とする研究グループは,2003年にP2X4受容体がミクログリアで増え,その刺激が神経障害性疼痛に重要であることを英科学誌Natureで発表し,それ以来,神経障害性疼痛とミクログリアに関する研究成果を数多く発表し,神経損傷後の脊髄で活性化したミクログリアが慢性的な痛みを引き起こしていることを明らかにしてきました(Nature 2003; Nature 2005; PNAS 2009; EMBO J 2011; Cell Rep 2012; Nature Commun 2014; Nature Commun 2016など)。
 今回,井上和秀 理事・副学長と津田誠 教授は,これまで全世界で報告されてきた神経障害性疼痛におけるミクログリアの役割に関する科学的エビデンスから,現在までに明らかになった細胞・分子メカニズム,そして創薬を含めた将来展望などを論じた総説を執筆し,2018年2月8日付けで英科学誌Natureの総説誌 『Nature Reviews Neuroscience』 のオンライン版に掲載されました。

論文タイトル
Microglia in neuropathic pain: cellular and molecular mechanisms and therapeutic potential

著者
Kazuhide Inoue, Makoto Tsuda

掲載誌
Nature Reviews Neuroscience

論文(Journalホームページ)
https://www.nature.com/articles/nrn.2018.2

薬理学分野
http://yakkou.phar.kyushu-u.ac.jp/

ライフイノベーション分野
http://life-innov.phar.kyushu-u.ac.jp/

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