研究成果

2016-11-17

簡便な手法による強固なカーバメートおよびウレア切断法の開発に成功!

九州大学大学院薬学研究院 環境調和創薬化学分野の大嶋孝志教授、森本浩之助教らの研究グループは、安価で入手容易なジエチレントリアミンを用いた、強固なカーバメートやウレアを切断する反応の開発に成功しました。

カーバメートやウレアは、医薬品や農薬などの生物活性物質や、有機化合物の合成中間体に広くみられる重要な構造の1つです。しかしながら、カーバメートやウレア結合はその安定性の高さから一般に切断が困難であり、既存の手法は激しい条件が必要なため官能基共存性に乏しい問題がありました。

今回大嶋教授らは、以前同分野で報告したジアミンとアンモニウム塩を利用したアミド切断反応での知見をもとに、市販で安価に入手可能なジエチレントリアミンのみを用いる簡便な手法で、様々な構造を有するカーバメートやウレアの切断を実現しました。本反応は空気や水存在下でも問題なく進行し、既存の手法では共存困難な官能基を有する化合物へも適用可能です。さらに、カーバメートやウレアと類似の構造を有するアミド結合存在下においても、カーバメートやウレアを選択的に切断できるという、これまでにない興味深い化学選択性も見いだしました。本反応は、アミンやアミノアルコールといった重要な有機化合物の合成において、有効な手法となることが期待されます。


この研究成果は、国際科学誌「Organic Letters (IF 6.7)」に2016年11月16日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Diethylenetriamine-Mediated Direct Cleavage of Unactivated Carbamates and Ureas
Megumi Noshita, Yuhei Shimizu, Hiroyuki Morimoto* and Takashi Ohshima*
Organic Letters, 2016, 18, ASAP (DOI: 10.1021/acs.orglett.6b03016).
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.orglett.6b03016

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp

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