トップニュース

2024-12-18

プラズマ照射システインが心臓の虚血耐性を高める

 プラズマとは、固体、液体、気体に次ぐ物質の第4の状態で、高いエネルギーによって原子から電子が分離することで、電子とイオンに分かれている状態です。近年、常温大気圧でプラズマを生成することが可能となり、高い化学反応場を生み出すプラズマを利用した医療や農学分野への応用研究が進められています。今回、自然科学研究機構生理学研究所/生命創成探究センター(ExCELLS)の西村明幸特任准教授と西田基宏教授(九州大学大学院薬学研究院と兼任)らの研究グループは、東北大学などとの共同で、含硫アミノ酸の1つであるシステインにプラズマ照射を行った溶液には心臓を虚血ストレスから保護する効果があることを明らかにしました。酸素濃度が低下した虚血状態の心筋細胞ではミトコンドリアのエネルギー産生能が低下します。この虚血心筋細胞にプラズマ照射システイン液を与えると、ミトコンドリアのエネルギー産生能が改善されることがわかりました。本研究成果は、虚血性心疾患に対するプラズマ生命科学を利用した新しい治療法開発につながるものと期待されます。

本研究は、低温大気圧プラズマ技術の生命科学や医療への応用・活用を目指す「プラズマバイオコンソーシアム」のプロジェクトとして行われ、その成果がRedox Biology誌(20252月号)に掲載されました。

 

掲載誌:Redox Biology

タイトル:Non-thermal atmospheric pressure plasma-irradiated cysteine protects cardiac ischemia/reperfusion injury by preserving supersulfides 

著者:Akiyuki Nishimura, Tomohiro Tanaka, Kakeru Shimoda, Tomoaki Ida, Shota Sasaki, Keitaro Umezawa, Hiromi Imamura, Yasuteru Urano, Fumito Ichinose, Toshiro Kaneko, Takaaki Akaike, Motohiro Nishida

DOI: https://doi.org/10.1016/j.redox.2024.103445

 

九州大学【研究成果】HPhttps://www.kyushu-u.ac.jp/f/59927/24_1217_01.pdf

ページトップ