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薬学研究院長挨拶
 
大戸 茂弘
薬学者の使命
薬学部は、これまで薬の研究と生産、そして医療の3分野で活躍する薬のプロフェッショナルを育成してきました。卒業生は、医薬品に加えて、化粧品、食品添加物、健康食品、環境汚染物質などを対象とした幅広い分野で、産学官のリーダーとして活躍しています。また4年制と並立させ6年制が導入され、新たな研究の展開と医療体制の構築により、国民の健康に資する魅力ある学部です。このように、薬学には人類の健康と福祉に貢献する大きな夢が託されているといっても過言ではありません。薬学研究院では長年にわたり「システム創薬リサーチ構想」(創薬・育薬に関する研究単位を束ね、基礎から臨床まで見渡せる研究環境の構築)を推進し、世界的な研究成果、大型プロジェクト採択など実績を積み上げてきました。学内では「創薬育薬最先端研究基盤センター(主幹教授制度)」の設置が認められ、国の事業である「最先端研究基盤事業(化合物ライブラリーを活用した創薬等最先端研究・教育基盤の整備)」が稼働しています。
九州大学独自の「大学改革活性化制度」の支援による「産学官連携創薬育薬共同研究推進による組織改革」 を基軸とし、平成 25年度に「産学官連携創薬育薬センター」を設置しました。一方で、概算要求では、平成25 年度に【重点要求】 最先端研究施設整備「九州大学(馬出)システム創薬リサーチセンター」が採択され、 平成26 年度末竣工予定で新研究棟が建設中です。学共施設として利用予定で、薬学附属研究施設である「グリーンファルマ研究所(仮称)」を目指しています。本改革により強固となった人的交流や双方向性の循環型産学官・国際連携を深め、医歯薬キャンパス将来構想「産学官連携開放型国際ライフイノベーション拠点」形成に創薬・育薬の視点から貢献することを目指しています。
特色・強みを活かした機能強化の例として、「創薬・育薬に関する研究単位を束ねた分野横断型の教育研究体制を活かした創薬研究者の養成」、「痛み研究、グリーンファルマ研究(環境調和型の育薬研究)など独創的な研究の推進」をミッションに掲げています。1年次の伊都キャンパスでの基幹教育は、学部を越えて教員と学生が一堂に会して学習できる総合大学の特色に満ち溢れ、薬づくりの新たな発想が醸成されます。また2年次以降、医療系学部が同一キャンパス内に位置する病院キャンパスでは、チーム医療や創薬の連携研究が実践できる最適な環境が整備されています。さらに九大薬独自の人と地球に優しい「グリーンファルマ研究」を推進するための創薬拠点の形成が加速化しています。一方、テニスやソフトボール大会なども盛んです。これらを通じて、いかなる社会環境にも適応できる強靭な精神力を培うための教育研究環境が整備されています。
九大の推奨するアクティブラーナーとして、常にチャレンジ精神を持って、薬のプロフェッショナルの道に邁進することが「薬学者の使命」です。
 
薬学部の歩み
薬学部の成立は昭和25年(1950)4月に九州大学医学部薬学科が新設された時点とされていますが、医学部の歴史に更なる源流を求めますと、慶応3年(1867) に黒田藩が西洋医学の教育機関である「賛生館」を設置し、そこを母体として、明治36年4月(1903) に明治政府の勅使により、京都帝国大学福岡医科大学が設置されたことが歴史にあります。明治44年(1911)1月にはまず九州帝国大学が設置され、それを追いかけるように同年4月には京都帝国大学福岡医科大学が九州帝国大学医科大学となり、その後名称変更により九州帝国大学医学部、さらに戦後、昭和22年(1947) 10月には九州大学医学部となりました。そうして、昭和25年(1950)4月に九州大学医学部に薬学科が新設され、昭和39年(1964)4月に至り、新たに製薬化学科が付加設置されて薬学部が独立・誕生した次第です。ごく身近な先輩方は医学部の学生と共に同じ教室で学んだ訳だし、また昨今の医学研究院との密接な研究・教育のつながりを考えますと、薬学部の源流は慶応3年(1867)であるとも言えます。
その後、平成11年度からは総合薬学科の1学科制、平成18年4月より、薬学部は4年制の創薬科学科と6年制の臨床薬学科の2学科制が敷かれて現在に至っています。
 
大学院薬学府の歩み
昭和28年 (1953) 4月に薬学研究科薬学専攻が開設されたのち、昭和43年には製薬化学専攻が増設され、平成4年(1992)には国立大学としては初めての試みとして医療薬学専攻が設置され、計3専攻となりました。平成11年(1999)からの大学院重点化に応じて、3専攻を廃し、医療薬科学専攻と創薬科学専攻の2専攻に再編されました。平成22年(2010)に創薬科学専攻修士課程、平成24年(2012)に創薬科学専攻と臨床薬学専攻の2つの博士課程が設置され現在に至っております。なお、教職員の所属する研究組織を「薬学研究院」と呼び、学生が所属する教育のための組織を学部生であれば「学部」、大学院生であれば「学府」と呼称します。
 
薬学部を志望される皆さんへ
「薬学者の使命」に記したとおり、薬学を学んだ方々の社会活動は非常に広範に渡ります。その中に、皆さんが望まれるものがありましたら、薬学部および薬学府、薬学研究院のホームページをじっくりとお読みください。そこには創薬研究や育薬研究にいそしむ私たちの姿が反映されています。創薬研究にも育薬研究にも実に多くの驚きと喜びが隠されています。私たち教員とその活動を支える職員は、このような研究の実践と教育を通して、皆さんが希望実現に向かって進まれることを全力を挙げてサポートします。ぴんと感じることができた君たち、どうぞ薬学においでください。
 
在学中の学生諸君へ
薬学部あるいは薬学府に在学中の諸君は、日々の講義と実習・研究に追われてしまい、ともすれば入学時の新鮮な情熱を忘れてしまう事もあるかもしれません。でも、時折立ち止まって「なぜ今ここで薬学を学んでいるのか」という原点に立ち返り、自分の人生について真剣に考えてみてください。様々な人生があってしかるべきですし、こうあらねばならないというものでもありません。一人一人にとってかけがえのない人生ですので、多様な価値観でご自分の人生設計をしてください。自分がどこかで社会に役立っていることを実感できなければがんばれないヒトもいるかと思います。私も含めてそういうヒトは、「薬学は社会に貢献していることを実感しやすい学問」ですから、ここで学べる幸せを実感してください。また、大学生活できることをご両親に深く感謝してください。大学は、共通の人生道場です。私たち教師も共に学び育っています。
 
九州大学薬学を支えてくださる卒業生や多くの方々へ
現在、私たちはかつてない大変な時期にさしかかっています。4年制と6年制並立にともなう様々な調整、大学法人化に起因する多くの未解決の問題、少子化による学生数減少、国家的規模および九州大学独自の状況に起因する人件費削減のダブルパンチと、それによる人員削減と業務の加重、等々の困難な状況で、どうすれば教育の質を確保して、研究の発展を期するか、一工夫も二工夫も考案しなければ薬学は難破してしまいます。先輩諸氏が築きあげた歴史を守り今後の発展を期するには、皆さんの更なるご支援を賜らねばなりません。その具体的手法をこれから少しづつご呈示しますので、どうぞ忌憚なきご意見と共に改善策やご協力ご援助を賜れば幸いです。ホームページも刷新して、活動する薬学をきちんとお見せするつもりです。ご期待ください。よろしくお願い申し上げます。