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タイトル ATM依存性DNA損傷応答におけるクロマチン修飾の役割
講演者 小林純也 先生
所属 京都大学放射線生物研究センター
開催日 2011-03-08 17:00
終了日 2011-03-08 18:00
内容

研究セミナーのお知らせ

 

NBS1をクローニングされた京都大学・小松賢志先生の研究室の小林純也先生の研究セミナーを、下記の要領で行います。

ご興味のある方は、ぜひご来聴下さい。

 

演題: ATM依存性DNA損傷応答におけるクロマチン修飾の役割

 

演者: 京都大学放射線生物研究センター 小林純也先生

 

日時: 3月8日(火曜日) 17:00~18:00

 

場所: 薬学部第2講義室 (中央棟3階)

 

要旨: ゲノムDNAは安定なクロマチン構造を形成しているが、電離放射線により二重鎖切断損傷(DSBs)が発生すると、細胞は即座にDSB損傷を検知して、細胞周期チェックポイントにより増殖を停止し、損傷DNAを修復する。毛細血管拡張性運動失調症の原因遺伝子産物であるATMキナーゼは、DSB損傷時にNBS1複合体との結合を介してDSB損傷発生部位に集結して活性化し、細胞周期チェックポイントを制御する。我々は以前、DSB損傷発生部位でリン酸化されるヒストンH2AXが、ATM依存性細胞周期チェックポイントの制御に機能することを明らかにした。また、ヒストンH2A/H2AXのアセチル化が、DSB修復の主要経路の一つ、相同組換え(HR)修復に関与することも明らかにした。このように、H2AXDSB損傷応答において重要因子と考えられるが、H2AXを介したATMの活性化機構の詳細は未だ明らかではない。それ故、我々はDSB損傷時に形成されるH2AX複合体の構成因子群を質量分析計で同定することを試みた。

 同定因子の一つ、nucleolinは核小体の主要構成タンパク質であるが、Laser micro-irradiation法、クロマチン免疫沈降法によって、DSB損傷発生部位に集積することが確認された。siRNAを用いてnucleolinをノックダウンすると、リン酸化ATMフォーカスの形成が低下するとともに、ATM依存性のタンパク質リン酸化・細胞周期チェックポイントの活性化が抑制されたことから、nucleolinATM経路の活性化に重要な役割を持つことが示唆された。ノックダウン細胞では、さらにDSB修復のマーカーであるgamma-H2AXフォーカスがIR照射後長時間残存し、HR修復活性も低下していたことから、DNA修復においてもnucleoinが重要な機能をもつことが示唆された。近年、nucleolinは転写制御においてH2A/H2Bをヌクレオソームから解離させてクロマチンリモデリングに機能することが報告されたが、ノックダウン細胞ではIR照射後に見られるクロマチンからのヒストン解離が抑制されていた。これらの結果から、nucleolinDSB損傷部位においてもクロマチンリモデリングを通して、ATM経路の活性化、DNA修復に寄与することが考えられる。

 

 

世話人:薬学研究院 藤田雅俊

九州大学 大学院薬学研究院

医薬細胞生化学分野