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研究成果
2016-08-14
神経障害性疼痛のメカニズムが大きく前進!
ミクログリア細胞を刺激する仕組みを解明
九州大学大学院薬学研究院の増田隆博 助教(現:ドイツ・フライブルグ大学博士研究員)、津田誠 教授、井上和秀 理事・副学長らの研究グループはこれまでに、神経のダメージで発症する慢性的な痛み(神経障害性疼痛)の原因として、ミクログリアという細胞で増えるP2X4受容体が重要であることを発表してきました。この受容体は細胞外にある物質、アデノシン三リン酸(ATP)で刺激されますが、ATPがどの細胞からどのような仕組みで細胞外へ放出されるのかは長年の謎でした。今回、研究グループはATPの放出に関わるタンパク質「VNUT」に注目して研究を行い、脊髄後角神経にあるVNUTがATPの放出と神経障害性疼痛に関与することを世界で初めて明らかにしました。実際に、脊髄後角神経のVNUTを作り出せないように遺伝子を操作したマウスでは、ATPの放出と、神経損傷後の痛みが弱くなっていました。この研究成果は、研究グループが2003年に神経障害性疼痛に対するP2X4受容体の重要性を発見して以来、10年以上も謎であった、ミクログリアのP2X4受容体を刺激する仕組みを明らかにしたもので、慢性疼痛メカニズムの理解が大きく前進し、痛みを緩和する治療薬の開発への応用が期待されます。
本研究は、英国科学誌 『Nature Communications』
オンライン版に2016年8月12日(金)午前10時(英国時間)に発表されました。
論文
Takahiro Masuda, Yui Ozono#, Satsuki
Mikuriya#, Yuta Kohro, Hidetoshi Tozaki-Saitoh, Ken Iwatsuki, Hisayuki Uneyama,
Reiko Ichikawa, Michael W.
Salter, Makoto Tsuda*, Kazuhide Inoue*
(#Equal Contributors, *Corresponding
Authors)
Dorsal horn neurons release
extracellular ATP in a VNUT-dependent manner that underlies neuropathic pain.
Nature Communications 7: 12529
(2016) DOI: 10.1038/ncomms12529
Nature Communications HP
http://www.nature.com/articles/ncomms12529
九州大学プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/39
ライフイノベーション分野