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2016-06-01

エステル交換反応に高い触媒活性を示す不均一系触媒を開発

九州大学大学院薬学研究院環境調和創薬化学分野の大嶋教授らは、エステル交換反応に高い触媒活性を示す不均一系触媒の開発に成功しました。

不均一系触媒とは、反応液に溶けずに触媒作用を示すものであり、反応後の触媒の回収や再利用、生成物の精製を非常に簡便に行うことが可能であるため、工業規模において多く利用されています。エステル交換反応は、環境調和的に高級エステル化合物を合成できる手法ですが、これまで本反応に利用されてきた不均一系触媒は、酸性もしくは塩基性の性質を示すものが多く、医薬品などの複雑な化合物への適用に課題を残していました。

一方で、これまでに当研究室は、低毒性かつ安価な亜鉛を金属種とした亜鉛四核クラスター触媒や、独自に開発した亜鉛—ビスイミダゾール配位子錯体が、ほぼ中性という温和な条件のもと、エステル交換反応に高い触媒活性を示すことを報告していましたが、これらの触媒は反応液に溶ける必要がある「均一系触媒」であり、工業応用に向けて課題を残していました。

今回、大嶋教授らが新たに開発した亜鉛担持型の不均一系触媒は、濾過によって簡便に触媒回収、再利用が可能であるという不均一系触媒特有の性質を示すだけでなく、幅広い反応条件、反応溶媒において高い触媒活性を示しました。また、酸や塩基に不安定な化合物だけでなく、複雑な構造を有する医薬品に対しても適用可能であるなど、これまでに当研究室が報告していた均一系亜鉛触媒が示す利点を保持していました。

この研究成果は、国際科学誌「Advanced Synthesis & Catalysis」に2016年10月14日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Transesterification Reaction Catalyzed by Recyclable Heterogeneous Zinc/Imidazole Catalyst

Daiki Nakatake, Ryo Yazaki, Yoshimasa Matsushima, Takashi Ohshima

Advanced Synthesis & Catalysis 2016, in press.
http://pubs.rsc.org/en/Content/ArticleLanding/2016/GC/C5GC02056E#!divAbstract
DOI: 10.1002/ADSC.201600229

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp

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