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2019-01-24

オキサリプラチンによる神経ダメージを保護する既承認薬を発見!

オキサリプラチンはがん化学療法において非常に重要な薬剤ですが、疼痛を伴う末梢神経障害を誘発することが臨床現場で問題となっています。しかしながら、現在、オキサリプラチンによる末梢神経障害に対する予防薬として推奨される薬剤はありません。
今回、九州大学大学院薬学研究院ライフイノベーション分野の津田誠教授と山本将大博士(現:国立国際医療研究センター研究所)およびグローバルヘルスケア分野の山下智大助教らの共同研究グループは、神経の培養細胞を用いたオキサリプラチンの神経傷害評価系を確立し、既承認薬を含む3,026化合物を調べたところ、抗エストロゲン薬の「フルベストラント」に神経保護作用があることを発見しました。さらに、オキサリプラチンを投与したラットで発症する神経軸索の変性とそれに起因する痛みもフルベストラントで抑制されることを明らかにしました。
本研究は、薬学研究院が推進するエコファーマ研究(既承認薬から新たな薬理作用を見出して迅速かつ安全に適応拡大するための育薬研究)の成果であり、フルベストラントがオキサリプラチンによる神経障害の発症を抑える有用な予防薬になりうる可能性を示唆しています。
この研究成果は、国際科学誌『International Journal of Cancer』に2018年12月4日付けオンライン版で発表されました。

論文名
New pharmacological effect of fulvestrant to prevent oxaliplatin-induced neurodegeneration and mechanical allodynia in rats.

著者
Yamamoto S, Yamashita T*, Ito M, Caaveiro JMM, Egashira N, Tozaki-Saitoh H, Tsuda M*.
(*co-correspondence authors)

雑誌名
International Journal of Cancer(IF: 7.36)
DOI: 10.1002/ijc.32043

論文(Journalホームページ)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.32043

ライフイノベーション分野
http://life-innov.phar.kyushu-u.ac.jp/index.html

グローバルヘルスケア分野
http://global.phar.kyushu-u.ac.jp/

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