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2017-05-31

カルボン酸誘導体の触媒的かつ化学選択的なα位酸化反応の開発に成功!

九州大学大学院薬学研究院 環境調和創薬化学分野の谷之口誠也大学院生、矢崎亮助教、大嶋孝志教授の研究グループは、カルボン酸誘導体の触媒的かつ化学選択的なα位酸化反応の開発に成功しました。

カルボン酸誘導体のα位酸化反応は、天然物や医薬品に広く存在するαヒドロキシ酸誘導体の合成法として有用です。そのため、これまでにも多くの研究が行われてきましたが、一般的に化学量論量以上の強塩基を用いる激しい条件が必要なため、官能基許容性や廃棄物の点で課題を残していました。近年では強塩基を用いない温和な条件での反応も開発されていますが、基質一般性に制限があるなど改善の余地を残していました。

今回大嶋教授らは、カルボン酸誘導体としてアシルピラゾールを用いることで、銅触媒存在下、強塩基を必要としない温和な反応条件おけるα位酸化反応の開発を達成しました。本反応は従来の手法に比べ、幅広い官能基許容性および高い化学選択性を有しており、合成終盤でのα位酸化反応として利用可能です。また天然物や医薬品由来の複雑な化合物においても適応可能であり、αヒドロキシ酸誘導体の新たな合成法としての利用が期待されます。





この研究成果は,国際科学誌「Organic Letters ( IF 6.7 )」に2017年5月30日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Catalytic Aerobic Chemoselective α-Oxidation of Acylpyrazoles en Route to α-Hydroxy Acid Derivatives
著者
Seiya Taninokuchi, Ryo Yazaki, Takashi Ohshima

発表誌
Org. Lett., Article ASAP (DOI: 10.1021/acs.orglett.7b01293)
http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.orglett.7b01293

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp/

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