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2017-05-02

無保護アミン類の直接的かつ効率的な新しい合成法の開発に成功!

九州大学大学院薬学研究院 環境調和創薬化学分野の大嶋孝志教授、森本浩之講師らの研究グループは、医薬品などの原料として重要な無保護のアミン類を直接供給可能な新しい環境調和型反応の開発に成功しました。

アミン類は医薬品などの生物活性物質を合成する上で重要な化合物です。このアミン類を効率的に合成可能なイミンに対する付加反応は、これまで様々な研究が行われてきました。しかし、これまで開発された反応は、反応性・選択性の制御や生成物の安定性の面からイミンの窒素原子があらかじめ保護されたイミン (N-protected imine) を用いるのが常識とされてきました。そのため、合成素子として有用な無保護のアミンを得るためには、得られた生成物から不要な保護基を取り除く必要があり、合成工程数・環境調和性の面で改善の余地を残していました。

今回大嶋教授・森本講師らは、これまであまり用いられてこなかった窒素原子が保護されていないイミン (N-unprotected imine) を反応に用いることで、保護基を必要としない新しい無保護アミン類の合成法を確立しました。彼らは、安価で容易に入手可能な亜鉛試薬とカルボン酸を組み合わせた新規触媒系を用いることで、無保護のケチミンに対する末端アルキンの付加反応が効率的に進行することを見いだしました。本反応は原子効率100%の環境調和型付加反応であり、副生成物を生じることなく種々の官能基を有する無保護α位四置換炭素含有アミン類を効率的に供給可能です。さらに、得られた生成物が脱保護を行うことなく直接生物活性物質の誘導体へと変換可能であることも実証しました。




この研究成果は、英国の王立化学会誌「Chemical Communications (IF 6.6)」に2017年4月27日付けオンライン版で発表されました。

論文名
Direct access to N-unprotected tetrasubstituted propargylamines via direct catalytic alkynylation of N-unprotected trifluoromethyl ketimines

著者
Kazuhiro Morisaki, Hiroyuki Morimoto* and Takashi Ohshima*

発表誌
Chemical Communications 2017, 53, Advance Article. (DOI: 10.1039/C7CC02194A)
http://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2017/cc/c7cc02194a


九州大学プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/117
http://www.kyushu-u.ac.jp/f/30411/17_05_01.pdf

環境調和創薬化学分野
http://green.phar.kyushu-u.ac.jp

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