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タイトル らせん分子の自己集合構造を制御する新たな方法論を考案
ヘリセンと呼ばれるらせん状の多環芳香族化合物は特異な構造や光学特性を有することから、有機キラル材料としての幅広い応用が期待されています。その官能基化やヘテロ原子の導入は、単量体の物性制御のみならず、分子の集合状態における分子配向制御においても重要です。ヘリセンの曲がったπ共役分子を狙い通りの結晶構造に制御することで、集合状態によって発現する特性を活用した新しいキラルナノテクノロジーの開発が期待されます。

九州大学大学院薬学研究院の臼井一晃助教、末宗洋名誉教授を中心とする研究グループ(九州大学先導物質化学研究所の友岡克彦教授、井川和宣助教、九州大学大学院薬学研究院の平井剛教授、王子田彰夫教授、昭和薬科大学の唐澤悟教授、第一薬科大学の増田寿伸教授ら)は、独自に設計したクマリン縮環型ヘリセン分子1aの自己集合構造を内部置換基の効果によって制御する新手法を開発しました。すなわち、積層構造形成時に生じる内部空洞を、導入する置換基により適度に充填することで、らせん軸方向に分子が積み重なった柱状構造を安定化しようというものです。 


 ヘリセン1aは、プロピオレート前駆体に対し金触媒によるヒドロアリール化反応を鍵工程とすることで合成に成功しました。さらに、基質である[5]ヘリセンに特徴的ならせん反転を利用した動的速度論的光学分割法に基づく1aのエナンチオ選択的な合成も達成しました。光学活性体1aは内部空洞の充填率が低い他のクマリン縮環型ヘリセン分子とは対照的に、予想どおり結晶状態において分子が規則正しく積み重なった柱状構造を形成していることを明らかにしました。また、1aのラセミ体と光学活性体の溶液状態及び固体状態での発光特性(蛍光量子収率)の違いも見出しました。


 本成果は、ヘリセンのキラル自己集合構造を設計、制御することが可能であることを、また、その自己集積構造によってヘリセンに特異なキラル光学特性が発現することを意味しています。今後、本方法論を基盤として、分子配向制御能および発光特性の高いヘリセン分子の開発に繋がると期待できます。
 
この研究成果は、国際科学誌「Chemistry - A European Journal」に2018年7月30日付けオンライン版に掲載されました。
 

論文名: Internal‐Edge‐Substituted Coumarin‐Fused [6]Helicenes: Asymmetric Synthesis, Structural Features, and Control of Self‐Assembly

著者: Kazuteru Usui, Kosuke Yamamoto, Yuhei Ueno, Kazunobu Igawa, Ryusuke Hagihara, Toshinobu Masuda, Akio Ojida, Satoru Karasawa, Katsuhiko Tomooka, Go Hirai, Hiroshi Suemune

雑誌名: Chemistry - A European Journal 
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/chem.201803270
https://twitter.com/ChemEurJ/status/1037907237031817216
DOI : 10.1002/chem.201803270

 
薬物分子設計学分野
http://sekkei.phar.kyushu-u.ac.jp/
ファイル
日付 2018-09-07 14:31